マーケティングオートメーションにおけるシナリオ設計を解説。ステップをおさえて適切なシナリオを設計しよう
マーケティングオートメーションでは、リードの獲得からリードナーチャリング、リードクオリフィケーションまでを効率化できるツールです。ただし、導入すればすぐさま動き出すわけではなく、マーケティングオートメーションの軸となるシナリオが必要になります。では、マーケティングオートメーションにおけるシナリオはどのように設計すればよいのでしょうか?
この記事では、マーケティングオートメーションにおけるシナリオ設計について、シナリオとは何かから始まり、ポイントや具体例、設計のコツなどを解説します。
Contents
マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは
シナリオというと、ドラマや映画の筋書、ゲームのストーリーなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際に脚本、台本といった意味で使われること言葉であり、マーケティングオートメーションにおいても、流れや道筋といった意味で使われています。
マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、顧客がどのようなきっかけで商品・サービスに興味を持ち、どのような手法でホットリードに変えていくという流れを示したものです。この流れは、カスタマージャーニーに基づいて作られます。
カスタマージャーニーとは、顧客が契約に至るまでの行動や心理を示したもので、マーケティングのステップを明確にすることが可能です。
マーケティングオートメーションは導入すれば、すぐにマーケティングを自動化できる、効率化できると思いがちですが、シナリオがなければ動き出すことができません。
シナリオが設計されていないことはもちろん、シナリオの質によってもマーケティングの質に関わってきます。マーケティングオートメーションを効果的に活用するためには、基礎となるシナリオ設計が重要になるのです。
マーケティングオートメーションで使用するシナリオ設計のポイント
マーケティングオートメーションで活用するシナリオは、ターゲットやシーン、手段などを具体的に設計することが大切です。項目別にシナリオ設計のポイントをおさえていきましょう。
【誰に】ターゲティング
まずシナリオ設計で必要になるのが、誰にアプローチするのかというターゲティングです。ターゲティングが上手くできていなければ、どのような人を顧客とするのかが曖昧になり、アプローチの質は落ちてしまうでしょう。では、どのようにターゲティングをしていけば良いのでしょうか。
何を軸にターゲティングするか
ターゲティングの手法として、ライフサイクル、行動、属性といった軸を設定する方法があります。軸を設定することによって、何を基準にして誰をターゲットにするかが明確になります。
ライフサイクル、行動、属性それぞれのターゲティング例は以下の通りです。
ライフサイクル
・見込み顧客
・新規顧客
・一般顧客
・優良顧客
・休眠顧客
行動
・メールの開封
・メールのリンクのクリック
・資料請求を行った
・問い合わせを行った
・商品をショッピングカートに入れた
・オウンドメディアを閲覧した
属性
・性別
・年齢
・職業
・居住地域
・結婚しているかどうか
・子どもがいるかどうか
ターゲットをスコアリングする
ターゲットによって確度が異なるので、確度に合わせてセグメント分けする必要があります。セグメント分けをする方法のひとつがスコアリングです。
ターゲットの行動にスコアを設定し、何点以上でホットリードか、何点から何点がウォームリードかをセグメント分けしていきましょう。確度に合わせたシナリオを設計できるようになり、マーケティングオートメーションの効果を発揮できる可能性が高くなります。
【いつ】どのタイミングでアプローチするか
ターゲットに対してどのようにタイミングでアプローチするかもシナリオ設計で重要なポイントです。
メールを送信する時間帯を決める場合と、顧客の行動に合わせる場合があります。タイミングを決めることと合わせて、適切な頻度を設定することも大切です。タイミングが多すぎたり、早すぎたりするとかえって効果が薄くなることもあります。顧客が望むタイミングを慎重に見極めて設定するようにしましょう。
【何を】配信コンテンツの内容
アプローチに使用する配信コンテンツの内容にもこだわりましょう。コンテンツの内容としては、商品・サービスを紹介するコンテンツや企業・ブランドを紹介するコンテンツなどがあります。
ターゲットによって、興味・関心が異なるので、興味を持ってもらえるコンテンツを選ぶことが大切です。顧客の行動や心理などを想定して、最適なコンテンツを配信しましょう。
【どのように】どのような方法でアプローチするか
ターゲット、タイミング、コンテンツの内容が決定したら、最後にどのような方法でアプローチするかを決めましょう。アプローチ手法はオフライン手法とオンライン手法の2つに分けることができます。
オフライン手法とは、顧客と直接接点を持ち、アプローチする手法です。展示会やセミナー、訪問などがあります。オンライン手法は、インターネットなどを活用した手法で、顧客と実際に接点を持たずにアプローチを行うのが特徴です。メールやテレアポ、広告などが主な手法となっています。
コンテンツ内容と同じく、ターゲットによって効果的なアプローチができる手法が違います。手法ごとの特徴やコストなども検討して、最適な手法を設定しましょう。
マーケティングオートメーションにおけるシナリオ設計の具体例
マーケティングオートメーションでのシナリオ設計では、「誰に、いつ、何を、どのように」を設定する必要があります。見込み度合いによってもアプローチが違いシナリオが変わってくるはずです。見込み度合いに応じたシナリオ設計の具体例をご紹介します。
ホットリードへの訴求
「今すぐ客」とも呼ばれる確度の高いホットリードに対しては、他社よりも早くアプローチしたいところです。例として、Webページの閲覧行動をベースにホットリードへの訴求を考えてみましょう。
誰に:自社メディアのサービス紹介コンテンツを閲覧しているユーザー
いつ:コンテンツを閲覧しているとき
何を:詳しい資料のダウンロードの案内など
どのように:ポップアップ
ホットリードは確度の高い顧客ですので、具体的な訴求をするのが効果的です。ポップアップであれば、閲覧しているページに資料請求の案内のリンクなどを表示させることができ、そのまま行動につながる可能性があります。
ホットリードとは言っても、一旦ページを離脱することもあるでしょう。離脱したホットリードを逃さないためのアプローチも重要です。シナリオ設計の例を見ていきましょう。
誰に:自社メディアのサービス紹介コンテンツを閲覧しているユーザー
いつ:コンテンツを閲覧しているとき
何を:詳しい資料のダウンロードの案内など
どのように:リターゲティング広告
一旦閲覧ページを離脱しているので、ポップアップではアプローチすることはできません。再度サービスに目を留めてもらう手段としてリターゲティング広告を用いると、再度検討してもらえるでしょう。
閲覧行動が見られたユーザーへのアプローチ
導入事例ページや自社メディアのコンテンツなどを閲覧しているユーザーは、ホットリードほどではないものの、商品・サービスに興味を持っていると考えられます。
ホットリードへの訴求のようにポップアップなどで検討を迫るのではなく、興味・関心を高めるために、有益な情報を提供する機会を案内するのが効果的です。
シナリオ設計の例は以下のようなものがあります。
誰に:自社メディアのサービス紹介コンテンツを閲覧しているユーザー
いつ:コンテンツを閲覧しているとき
何を:詳しい資料の案内、セミナーの案内 など
どのように:メール
興味・関心を高める手段として、詳しい資料のダウンロードURLを添付したメールやセミナーの詳細を記載したメールなどを送ってみましょう。興味の高いユーザーであれば、ダウンロードや参加につながり、より確度が高まるはずです。
コールドリードへのアプローチ
コールドリードはホットリードに比べると確度が低いですが、ホットリードまで育成し商談化することも重要です。現在はあまり行動に現われていなくても、潜在的な興味・関心がある層と言えるでしょう。
コールドリードへのシナリオ設計の例を見ていきましょう
誰に:〇日以上アクションがないユーザー
いつ:自社で設定したフォロータイミング
何を:オウンドメディアのURLやホワイトペーパーなど
どのように:メール など
コールドリードに対してフォローする仕組みが整っていないと、他社に流れたり、興味を失ったりして見込み顧客を失うことになります。そのため、まずはどのくらいアクションがないユーザーに対してフォローするのかを明確に設定しましょう。
具体的な契約の訴求をするよりも、まずは自社の商品・サービスを思い出してもらったり、基本情報を知ってもらったりできる内容が最適です。
効果的なシナリオを設計するコツ
マーケティングオートメーションのシナリオをポイントに合わせて設計しても、効果が出なければ良いシナリオとは言えません。効果的なシナリオを設計するには、いくつかのコツがあります。3つのコツをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ターゲット設定に力を入れる
マーケティングオートメーションで最も重要なポイントは、「誰に」を決めるターゲティングです。ターゲティングがズレてしまうと、「いつ」「何を」「どのように」もターゲットからズレる可能性があります。そうなってしまうと、タイミングや内容、配信方法が優れていても結果は期待できません。
ターゲティングの軸やスコアリング、セグメンテーションなどを意識し、ターゲット設定に力を入れ、最適なターゲティングかを慎重に検討しましょう。
カスタマージャーニーを想定する
シナリオは顧客の行動や心理を想定して設計しますが、よりリアルで具体的なシナリオを設計するためにはカスタマージャーニーを想定することが大切です。
カスタマージャーニーを想定する際は、想定したターゲットの動きを時系列で見える化します。ターゲットの行動の幅は広くなっているので、一つの道筋だけでなく、複数のチャネルを想定すると、より精度の高いカスタマージャーニーを作成できるでしょう。
カスタマージャーニーを生かすことによって、アプローチのタイミングや方法が明確になったシナリオを設計できます。
設計と検討を繰り返す
シナリオを一度設計し運用しても、結果が出ることもあれば、結果が思わしくないこともあるでしょう。アプローチ方法やタイミングなどが原因になることもありますが、シナリオ設計にも問題があるかもしれません。
シナリオは設計・運用しっぱなしではなく、結果を分析・検討し、改善を繰り返すことが大切です。結果や状況に合ったシナリオにブラッシュアップし続けることで、結果を期待できるでしょう。
まとめ
マーケティングオートメーションのシナリオ設計では、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」の4つがポイントになります。ターゲティングが最も重要で、シナリオ設計の軸としてこだわりたいポイントです。効果的なシナリオを設計するためには、カスタマージャーニーを想定したり、設計・検討を繰り返したりすることも欠かせません。効果的なシナリオを設計し、マーケティングオートメーションの運用を始めましょう。
・代表の経歴
大学卒業後、IT企業に入社し、飲食・小売店向けタブレット型POSレジのパッケージ・SaaSの提案営業、また、グループ会社にて、中小企業の経営者を対象に、自社開発CMS、BtoBビジネスマッチングサイトのアウトバウンド営業を担当させて頂きました。その後、IT企業に特化した人材紹介会社にて、外資系・日系IT企業を対象にエンジニア採用のコンサルティング営業を経験し、IT/WEB業界における無形商材の営業経験をいかして、2017年3月に株式会社カタセルを設立しました。
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