営業は心理学を学ぶべきか?

営業という仕事は、商品・サービスを買ってもらうために、顧客の心を動かす必要があります。心を動かすには、心理を理解する必要があり、心理学を学ぶことを求められる場合もあるでしょう。では、営業マンは専門的な心理学を学ぶべきなのか、それとも現場で心を動かすテクニックを身に付けるべきでしょうか?

本記事では、営業は心理学を学ぶべきかというトピックについて解説していきます。営業で使いたい心理テクニックも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

営業の現場経験として学ぶ

営業職にとって、学問としての心理学を学ぶ必要はないと言います。専門的な心理学知識を付けるよりも、顧客はどのような意図や思いで発言しているかといった背景や、自分のトークに対して顧客が感じているかなどを、現場経験のなかで学ぶことが大切です。

心理学の知識が全く役に立たないわけではありません。心理学の知識をフル活用している営業マンもいますが、専門的な知識よりも顧客心理を的確に汲み取れるようになるのが理想でしょう。

営業で使いたい心理テクニック

営業において、専門的な心理学は必要ないと説明しましたが、テクニックとして使いたい技がいくつかあります。現場で顧客と接しながら身に付けるのが一番ですが、参考としていくつかの心理テクニックを覚えておきましょう。

黙っているときは話すまで待つ

商談をしているときに、常に会話をしている場面だけでなく、顧客が目線を外して黙っている場面もあります。営業マンとしては、沈黙が怖くなってしまい、つい話を続けてしまいがちです。この場合、黙っている顧客が話し出すまで待つようにしましょう。

顧客が黙っているときは、何か考え事をしている可能性が高いです。真剣に検討してくれる顧客ほど黙ってしっかり考えてくれる傾向があります。沈黙に負けて話し出さないように、我慢強く反応を待ちましょう。

課題を話したがらないときは褒め切る

課題やニーズがあるものの、なかなか話したがらない顧客もいます。ヒアリングをしていると、この顧客には課題やニーズはなく、営業は難しいだろうと判断しがちですが、実は課題やニーズが隠れていることがあります。

普段通りヒアリングを続けてもなかなか引き出せないので、あえてポジティブなことだけを言って褒め切ってみましょう。「課題がないのは素晴らしいですね」「課題はなさそうですね」といったように働きかけていると、「実はこんな課題があって…」と話し出すこともあります。

フットインザドアテクニック

フットインザドアテクニックとは、顧客が答えやすい提案を重ねていく手法です。「〇〇だけでも良いですか?」「良いですよ」というやり取りを答えやすい提案から続けていくことで、「導入を検討してみませんか?」といった大きな提案へのYESを目指します。

はじめから導入を検討してもらうにはハードルが高いですが、小さなYESを重ねていくと、アポイントや商談を獲得できる確率が上がります。

ドアインザフェイステクニック

ドアインザフェイステクニックは、フットインザドアテクニックの反対のアプローチをするテクニックです。まず大きな提案から相手に持ちかけます。「1年間の継続利用をお願いできませんか?」と問いかけ、「1年間はちょっと厳しいな」と答えたとします。

次に、「お試しで1ヵ月間利用してみませんか?」と問いかけると、ハードルが下がるので、了承を得やすくなります。1年間で利用してもらおうと思っておらず、ダミーとして提案します。ダミー提案の本来の提案に差がありすぎると効果が薄れるので、営業で活用しながら感覚を身に付けましょう。

ハード・トゥ・ゲット・テクニック

ハード・トゥ・ゲット・テクニックは、特別感を演出し、顧客の心を動かすテクニックです。「今回特別に〇〇を用意しました」「〇〇さんだからこそ話させていただきます」など、特別な顧客であることをアピールしましょう。

ただし、乱用しすぎたり、表面的な言葉だったりすると、かえって信頼を失うおそれがあります。タイミングを見極めて使うこと、根拠とセットで伝えることが大切です。

ラポールテクニック

ラポールテクニックとは、顧客との信頼関係をつくるためのテクニックです。共感を得るために、顧客の心理状態に合わせてコミュニケーションを行うことで、心理状態がマッチして、親近感や安心感などを感じさせます。営業では、顧客との信頼関係がアポイントや受注に直結するので、とても有効なテクニックです。

心理状態に合わせる具体的な方法として、姿勢・しぐさや話し方、声の大きさ、呼吸などを顧客に合わせてみましょう。状態以外にも、顧客との共通した話題があれば、積極的に活用するとより効果的です。

フレーミング

フレーミングは、あらかじめ枠組みを設定するテクニックで、営業の流れをつくることができます。「〇〇とはこういうもの」という枠組みをトークのなかで強調することで、顧客と問題意識を共有でき、提案が伝わりやすくなります。

営業の序盤に目的を共有する場面だけでなく、商品・サービスの定義づけをしたり、導入効果を強調したりするときにも効果を発揮します。

バーナム効果

バーナム効果は、自分だけに当てはまっていると思わせる心理テクニックです。多くの人に当てはまる事例であっても、「あなたは」という部分を強調することで、自分事のように感じ、商品・サービスの必要性が印象付けられます。

営業において、バーナム効果を活用しているのはセールスレターです。キーマンに直接アプローチすることで、自分の課題と思わせ、アポイントや商談につながる可能性を高めます。

バックトラッキング

バックトラッキングを日本語にすると、オウム返しとなります。顧客の言葉を繰り返すことで、相手の共感を引き出すことができます。

「〇〇という課題がありました…」「〇〇が課題なんですね」といったように、バックトラッキングしていくと、問題意識が明確になったり、親近感を与えられます。

カリギュラ効果

カリギュラ効果とは、興味を引き出すときに使われるテクニックです。例えば、「このプランは他のプランより高いですね」という反応に対して、「理由は実は社内機密なのですが…」といったように、秘密にしたり、禁止したりすることで、顧客は知りたくなり、興味を持つでしょう。

何でも秘密だと本当か疑われるので、決め手となる部分や興味を引き出したいポイントで、ピンポイントで活用したいテクニックです。

営業は質をあげるべき?それとも量?

営業現場で身に付けた顧客心理の汲み取り方や、活用したい心理学テクニックなどは、営業の質を高める方法です。質を上げるべきか、量を求めるべきかとなったとき、はじめは量を重視して行動する方が良いでしょう。

最初から質を求めようにもデータが限られていたり、スキルやノウハウが積みあがっていなかったりするので、思うように成果を得られません。量を求めて数をこなしていくと、徐々にデータが集まり、自然に質も求められるようになります。量にフォーカスして結果が出始めてから、心理テクニックを活用するなど、質を求めていきましょう。

まとめ

営業職は心理学を学ぶべきかという問いに対しては、学問としての心理学は必要ないが、現場で顧客心理を学ぶ必要はあると答えることができます。もちろん心理学テクニックも役立ちますが、まずは顧客の気持ち、捉え方を汲み取れるようになりましょう。参考として、紹介した心理学テクニックを覚えておき、現場で活用しながら身に付けてみてくださいね。

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